Midori |
02/24/2024 |
幼少期の頃から暇があれば旅行に出掛ける環境にあった私ですが、いくら旅を重ねても免れられない困難に立ち合う事があります。旅行といえばトラブルがつきもの。その場その場でトラブルを解決できるかが旅を楽しむには必要だと今回も改めて思い知らされました。
2022年の年末にコロナ禍明け、3年ぶりに海外旅行でベトナムへ行きました。色々なコロナ関連のルールが緩和されたとはいえ、2回しかワクチンを打っていない場合、日本帰国時にコロナの陰性証明書の取得が必要でした。ベトナム行きにした理由は、陰性証明書の発行を航空会社がサポートしてくれるキャンペーンの記事を見て決めたハズでしたが、そのキャンペーンは既に終わっていたことにホーチミンに着いてから気づき、大慌てで帰国72時間前に滞在していたフーコック島の病院でコロナ検査をし、陰性証明書を抱えながら日本に帰国したのは昨年の話。その1年も経たないうちに、次の旅先でニュージーランドを初めて訪れることに決め、東京出発の直航便でなく、関西空港発香港経由でオークランドへ行くことに。母と二人分の航空券を押さえたのは出発3ヶ月前、珍しく日数に余裕を持っていたせいか有意義に構えていました。情報収集は最新の「地球の歩き方」、雑誌等で旅先のローカル情報を収集、細かい予定を立てないまま、慌ただしい日々を過ごしながら出発予定の12月を迎えました。
コロナも気にすることなく人に会う機会も多くなり、暴飲暴食が続いたせいか、食中毒なのか、原因不明の腹痛に見舞われ、旅行出発5日前に人生初の入院を経験する羽目に。「もし緊急手術になった場合、残念ながらクリスマス休暇はありませんよ。」という医師を尻目に緊急手術が避けられ、痛みも緩和した事から翌日逃げるように退院し、少しずつ回復していきました。
3日間ほぼ絶食に近い状態のまま出発日を迎え、関西空港には少し余裕を持って搭乗2時間半前に到着。搭乗券発券のためチェックインカウンターの列に並んで、やっと順番が回ってきたところ、預ける荷物のタグがついていないことを航空会社のスタッフに指摘され、再度長蛇の列の最後尾に並ばされる始末。思いの外時間がかかり、やっと順番がきたので、予約番号等を伝えパスポートを見せたところ、何やら話し込んでいるスタッフが一向に搭乗券を発券してくれない。ただでさえ時間がギリギリになってしまったのに「何か?」と尋ねると「ニュージーランドの観光ビザNZeTAを取得されましたか?」観光ビザ??手元にある’24年〜’25年最新版の「地球の歩き方」を再度チェック。「ビザについて」の欄に「ビザは基本的にいりません。」と2行にわたって記載があり、既に前日にも再確認した箇所。ところが、読み進んでいくと「ただし、2019年5月よりビザが必要…」との記述が(汗 スタッフから「ビザがないと搭乗券を発券できません。今すぐスマホで取得してください。」と一撃。慌ててスマホで申請しようとするが、焦りからか一向にうまく進まない。母はパニックになり、私の苛立ちは最高潮に達し、経由先の香港でNZeTAを取得するから香港までの搭乗券を発券して欲しいと伝えたら「それもできません。」と即答。時間が迫る、もう搭乗時間に合わないというところまできて半分諦めかけた矢先、「香港までの搭乗券のみ発券します。一旦香港で出国し、預けた荷物を受け取って、ニュージーランド行きの搭乗券を香港で発券してもらってください。」。こちらの提案を聞き入れなかった挙句、出発時間ギリギリの判断?!と激怒しながら走って搭乗ゲートに向かう。とはいえ、NZeTAを取得しなかったのは自己責任。ビザが取得できなかったら香港旅行に変更せざるを得ないかもしれない?!?!頭を抱えながら香港行きの飛行機に乗り込む。香港空港でのトランジットは4時間あるものの、出国に時間がかかるかもしれない、預けた荷物がすんなり出てこないかもしれない。気持ちを落ち着かせ機内の有料WIFIを渋々使用し、ニュージーランドビザの申請をスマホで再開。難なくすんなり申請できビザを取得。とはいえ、ニュージーランド行きの搭乗券が手元にある訳ではないので、何かと落ち着かず映画も観る気になれないまま、香港空港に着陸。
香港空港では、出国も荷物の受け取りもスムーズに進み、逆にチェックインカウンターが開くまでの時間を持て余すことになり、「どうなるんだろう、この旅行?」と体調もまだ回復段階の中、空港で鳴り響くクリスマスソングを聴きながらワンタンスープを飲んで溜息。
時間になってチェックインカウンターへ向かうと、時間も早いことから誰も並んでいない。事情を説明し、機内でビザを取得したと告げたら、一部間違いがあったものの、その場で丁寧にスタッフが訂正し、無事ニュージーランド行きの搭乗券が手元に!!!香港経由便に助けられ、(おそらく直航便だったらアウト?!)ニュージーランド航空のスタッフに感謝を告げ、搭乗券を振りかざして、香港を無事出国。唔該!
気分も一転、機内で映画を見て睡眠をとり、体調も回復していき、オークランド空港に現地時間午前9時半に予定通り到着。あいにくの雨はものともせず、20度を越える暖かい初夏のニュージーランドへ入国でき辿り着けた喜びは、いつもにも増して倍増!
さて、無事に入国できたとはいえ、予期せぬ入院のせいで何も予定を立てておらず、ホテルへの行き方も調べていない始末。Google mapで母がその場で検索したローカルバスを3台乗り継ぐルートの不便さに頭がボーっとしてたせいか疑問も抱かず、各バス停で人に訪ねながら宿泊先のホテルへ辿り着く。もちろん、シャトルバス一本で行ける方法があったと後から知るのはいつものこと。
現金は必要ないかなと両替をせず、クレジットカードだけ持ち出してブラブラとホテル近隣を散策。クリスマス翌日で、昼間でも閉まっている店舗が多い中、開店している数少ないカフェに入り、サンドイッチを注文。店主一人で切り盛りしていて、注文を受けてサンドイッチを温めながら「12ドルです」と差し出された支払い機にクレジットカードを差し込むと、エラーが発生。何枚か他のカードで試してもどれもエラー。サンドイッチを温め終えた店主が、諦めた様子で「支払いはいいから食べて。」と差し出してくれた。断る事もできず、とりあえずいただくことに。後で商品代を支払いに戻ると言ったら、あと30分で閉店、翌日は休みだと告げられた。「じゃ、必ず明後日に持ってくるから。」と約束し、食い逃げ?同然で店を後に。
その後どの店舗でもクレジットカードの支払いに困る事はなく、翌日は天気にも恵まれたので、ワイヘキ島へフェリーに乗って行く事に。
港まで着いているのにフェリー乗り場が見当たらず、土産店に入ってスタッフに場所を英語で尋ねると、説明しにくそうに英語で説明し始めたので、すぐ日本人だと分かった。「ワーキングホリデー3ヶ月目ですが、英語が全然上達しないんです。文法が苦手で…」と不安そうだったので、「文法なんて気にしないで、折角良い環境にいるのだから色んな人と会話することに心掛けて。」とエールを送り、フェリー乗り場へ。
世界1消費量が多いといわれるニュージーランドのアイスクリームを食べながらフェリー乗り場に並び日本語で母と話していると、「こんにちは。」と白人の男性が日本語で話しかけてきた。ヨットでニュージーランドから日本まで行った事があり、30年前に千葉県で英語を2年間教えていたとのこと。「今はここでドライバーをしているので、もし車が必要な時は車を出すから遠慮なく連絡してね。」と言ってくださった。到着2日目にしてドライバーの知り合いが出来てしまった(笑。
オークランドからワイヘキ島へはフェリーで40分程、ワイヘキ島に着いてからインフォメーションでワイナリーまでの行き方を尋ねると、歩ける距離だと伺い、歩いて2つのワイナリーへ島内の景色を楽しみながらハイキング。
テイスティング後、ワイナリーのレストランでやっとまともな食事と久々のワインにありつけ、一面に広がる葡萄畑を見渡しながら美味しい空気を吸ってお腹も心も満たされていきました。
翌日の朝、約束通り現金を持参し例のカフェへ。支払いに戻ってくると思っていなかった店主は「You don’t have to do!」と言いながら満面の笑みでしっかりサンドイッチ代金を受け取ってくれた。こちらもとても爽快な気分になり、その後カフェを通る度に手を振ってくれるようになり、また知り合いが増えた気分に(笑。
母と別行動の日は、ランニングをしたり、レンタルで乗り捨てできる電動キックボードで街の中を行ったり来たり。
雨の日は、オークランド美術館で MAORI 族について学び、現代美術館アートギャラリーへも足を運ぶ。
イギリスから観光にきていたマダムやアメリカから一人で旅していた女性とも話す機会に恵まれ、意外に欧米人の観光客が多い国だということにも驚きました。
最後に、北東に位置するマタカナという街で開催されるファーマーズマーケットへ行ってみることに。長距離バスから乗り継いだローカルバスが渋滞に巻き込まれ予定より1時間遅れで到着。ファーマーズマーケットは地元だけでなく観光客で大賑わい。移民が多い国ならでは、イタリア、フランス、メキシコ等それぞれの国の料理店が並び、目移りしながら食事や買い物を楽しむ。とはいえ、帰りのバスの遅延を懸念し、早目に切り上げることに。予測通り、帰りのローカルバスも1時間遅れ、乗り継ぐ長距離バスも1時間以上遅れ、さらにバス内で鳴り響くエラー音の原因を運転手が突き止めるまでの間、1時間車内で待機させられる羽目に、、、半日で済む予定がほぼ丸一日かかってしまった。
あっという間に帰国日、ホテルから空港まで1本で行けるシャトルバスを予約していたので、スムーズにオークランド空港へ向かい、帰国便は遅延もなく、また私の不備もなく、香港経由で関西空港に無事帰国。
色々なトラブルをくぐり抜けた先に奇跡的に辿り着けたニュージーランド。印象に残ったのは、人々が本当に親切で安全で自然豊かな国だったこと。また、環境問題に対する意識が高かったこと。テイクアウト用の惣菜用にも、スーパーマーケットにもレジ袋は見当たらなかった。野菜や果物だけでなくチョコレート等の量り売りもあり、その意識の高さは日本と比べものになりません。プラスチック(ビニール袋)を使用しない生活環境が当たり前で、自然や自国をとても大切にしている国民性に触れることができました。
今回に限らず、私の旅はトラブルがつきものですが、トラブルが起こる毎に人に助けてもらい、なんとかなってしまうので、次の旅行計画を立てる頃には、このような大変な思いもすっかり忘れてのんきに新たな旅の計画を立てることになりそうです。ただ、助けてくださったり親切にしていただいた人々のご恩は忘れず心に刻み、療養の旅となったニュージーランドも思い出に残るひとつの旅になりました。トラブルはもちろん無い方がいいに決まっていますが、それなりに解決できるスキルがアップデートされたと思えば次の旅も楽しみになります。
もし、ニュージーランドへ初めて旅する事があれば、観光ビザNZeTAの申請はくれぐれもお忘れなく。もしくは、ビザの必要がない国を経由して行かれる事を心からオススメします。(2024年2月現在)