Is Everything All Right? in Thailand
2024年秋、寒さが深まり始めた頃、毎年恒例となった年末の母との旅の計画をそろそろ立てないと、と旅先の国の候補をリストアップ。ニュージーランド、モロッコ、トルコ、タイ。「どこの国へ旅するか」に迷ったら「何を食べたいか」に考えをシフトします。昨年旅立つ前、体調不良に陥り、ニュージーランドでは満足に食事ができなかったので、再度訪れ挽回するも良し?、初のアフリカでモロッコのタジンを楽しむ?、世界三大料理のトルコ料理を味わってみる?等々、色々検討した結果、タイ料理を毎日食べつくす旅に決めました。
タイは数回訪れたことがありますが、リゾート地で出来れば行った事のない場所でいい所がないか探してみると「王室の保養地として古くから発展した優雅な気品漂うリゾート地」というコピーに惹かれ、バンコクから南に位置するホアヒンへ行くことにしました。
関西空港からホアヒンへの直行便はなく、バンコクから陸路で行ける距離と知ったので、取り急ぎバンコクまでの航空券を予約。’取り急ぎ’と言いながら、出発1ヶ月前。出発2週間前に宿泊場所を押さえ、ギリギリに旅立つ最低限の準備が完了。
最近海外のホテルでもLINE等で気軽に問い合わせができるようになって、バンコクからホアヒンまでのタクシー代について問い合わせたら、4400バーツ(約2万円~)との返信あり。「高っ!」と思わずリサーチ始動。一番安いのが電車でしたが、空港と駅が直結していないようなので、バスを調べたところ空港から直行で1人325バーツ(約1500円)! バス会社のホームページからサクッと簡単に予約もでき、出発当日を迎えました。
昨年末、旅立つ前に NZeTA を取得してなかった問題で、関西空港のチェックイン時に目的地のニュージーランドまでの航空券を発券してもらえず大騒動だったのとは異なり、スムーズにタイまでの航空券が手元に。荷物を預け、スケジュール通り飛行機は飛び、乗継便に遅延もなく、物足りないくらい(?)スムーズにバンコク到着。
ホアヒン行きのバス出発まで少し時間に余裕があり、グリーンカレーとパッタイを空港のレストランで注文し、久々にスパイシーなタイ料理に舌鼓。
バスはリクライニング付きの椅子で座り心地もよく、トイレも付いている大型シャトルバス。3時間30分のバスの旅は、車窓から景色を見る間もなくぐっすり眠っている間にホアヒンに到着。ホテルに着くと同時にウェルカムドリンクで歓迎を受け、ホッと一息。
翌朝は、鳥の声で目が覚める。日本のチュンチュンという雀のかわいい鳴き声とは異なり、『カーワオ! カーワオ!』とかなりの大音量で「鳴く」というより「叫んでる」に近い鳥の声も、東南アジアならでは。久々に来たなーと実感でき、ベランダからプールを眺め、すっきりと晴れた25度、湿度のないベストな気候に心躍る!
朝食を摂った後、ホテル周りを散策。ホテルに戻る道すがら「洗濯屋」が立ち並んでいる。日本のクリーニング店とは異なり、洗濯機で洗った後、天日干しで敷地内で乾かす手作業スタイル。90バーツ(約360円)/1kgなら試しに出してみようかとホテルへ戻る。
ホテルに戻って洗濯物を持ち込むと、アナログな秤にポンと乗せて重さを計ると丁度2キロ。言葉が通じない中、お金を払おうとすると『Tomorrow』と拒まれた。おばさんが時計の針の10時を指して『Tomorrow』と言うので、翌朝10時に行くと、全ての洋服にアイロンがかけられ、ほつれていた箇所を修復までしてくれて、キチンと畳んで返ってきた。仕事が丁寧。180バーツ(約760円)/2kgは、ありたがたい!『 รถตำรวจ(コップンカー)』と御礼を告げた。
次はホテル近くにある市場でマンゴーの有名店を発見。芸能人らしい人がここに来て撮ったであろう写真が数枚飾られている。マンゴーを手に取ると『Today, No! Tomorrow!』と言われ、翌日に食べると最高に美味しかった。この町では、英語の「Today」と「Tomorrow」は通じる。
特に観光へは出掛けず、ただひたすらプールサイドで横たわり、読書に明け暮れ、同じように朝からずっとプールサイドにいる他の宿泊客と挨拶を交わしたり、気が向いたらプールで泳ぎ、ランニングに出たり、お腹が空いたらタイ料理を食べにトゥクトゥクで出掛け、至福の時間が流れていきました。
残り2泊はバンコクに宿泊する予定だったので、バンコクまでホアヒンから電車で行こうと調べてみると満席で予約ができない状況…。ホテルのフロントに問い合わせると、近くのショッピングセンターからバンコク行きのバスが30分毎に出ているので、予約の必要もなく、バス停へはホテルから車で10分程の距離だというので、タクシーを手配してもらった。
ホテルのチェックアウト当日、タクシーの運転手にタイ語でバンコク行きのバス停の場所を間違えなく伝えて欲しいとホテルのスタッフに念を押し、御礼『 รถตำรวจ(コップンカー)』を述べ、名残惜しみながらホテルを後にしました。
タクシーは10分程走り、先日説明されたショッピングセンターを少し通り過ぎたところで降ろされた。バスは一台も停まっておらず、受付とスタッフが数名いるだけで乗客もおらず閑散としている。タクシーから降りて、受付で『Bankok』と伝えると、『Tomorrow』と言いながら「15:30」と記載のスケジュール表を指でトントンと叩かれた。え? 次の便が明日の15:30出発ってこと? 30分毎に走ってないの? 言葉は通じない、受付の女性も怖い顔で『Tomorrow』しか言わない…。ホテルへ連絡すると電話に出たスタッフも大慌てで状況をよく把握していない様子で、対応に困っている。とりあえず電話を切り、落ち着いて考える。今日と先日案内してくれたスタッフの連携が取れておらず、違うバス停に来てしまったのでは? という結論に至り、トゥクトゥクを拾って先ほど通り過ぎたショッピングセンターへ向かった。ホテルに戻ってもう一泊しなければならないかも? 戻っても部屋に空きがないかも? と悶々と考えながら、ショッピングセンター内でスーツケースを引っ張りながらバス停を探し回る。ショッピングセンターの奥まで行くとバス停らしきものが! これやん、このバス停やん! あぁー、救われた! ホテルに連絡してバンコク行きのバスに乗れると電話で伝えると私の苦情やバス停に辿り着くまでの経緯についてには一切触れず陳謝もなく『Is everything alright?』と言われた。そう、ここはタイ。多くを求めてはいけないのです。バスに乗ってこれからバンコクへ行けるじゃないですか。スタッフの連携が取れてないなかった事等全く問題ではないじゃないですか。Everything is alright なのです。
バス代はなんと1人100バーツ(約400円)。さっき5分程乗ったトゥクトゥクと変わらない謎の値段設定にはもちろん苦言せず、ローカルの乗客に紛れてワゴン車に10人キツキツにスーツケースも詰め込まれ、居心地は快適ではないものの3時間30分で夕方にバンコクへ辿り着くことができました。
バンコクでは買い物を楽しみ、都会ならではのおしゃれなレストランやカフェもある中、迷わずタイ料理店へ。食事は断然ホアヒンの方が値段も安い上、魚介も新鮮でしたが、ホアヒンでもバンコクでも念願だったタイ料理三昧の旅を満喫することができました。
旅の目的は人それぞれですが、旅行だからと言って興味がない観光地を訪ねる必要もありませんし、自由気ままな旅が私好みです。その国や人や文化、空気に触れ、心身を解き放ち、良い旅ができると、次への原動力になります。語学のスキルなんて心配せず、旅行前に全ての計画を立てなくても、その場その場で対処していくことがより旅を楽しくさせ、自分の語学力に向き合う機会にもなります。問題があった時にどう解決すればいいか、その国の文化を理解し、柔軟に対応できれば、大抵 Everything is alright で旅を楽しめるはずです。
『 รถตำรวจ(コップンカー)。』