‘今日は死ぬのにもってこいの日’ – November 2017

去る2017年11月12日(日)に、女優・森うたうさんの一人語り『今日は死ぬのにもってこいの日』(原題は『MANY WINTERS』ナンシー・ウッド[著]、同タイトルの日本語訳は金関寿夫[訳]、株式会社めるくまーる[出版]、上演は森うたう[出演・演出]、青木渉[音楽])をイマジン語学スタジオで上演いただき、その後にパーティを行いました。
3ケ月毎に行っている展示替えのローンチパーティは通常、英会話教室内に展示する作品(絵画や創作物など)の作家さんをお招きしてパーティを行っておりますが、今回はパーティ前に観劇時間を設けて、今までとは少し違うスタイルで開催しました。

数年前に、神戸で上演された森うたうさんの別の作品の語りを鑑賞したことがあり、うたうさんの演技力に衝撃を受け、他の作品も観てみたいと思っていました。『今日は死ぬのにもってこいの日』という衝撃的なタイトルをfacebookの投稿で知り、東京では連日立ち見が出るほどの公演だと伺い、より一層気になっていた中、うたうさんから「地方で公演できるところは、ないかしら?」とご連絡をいただき、今回の開催に至りました。

パーティの前日にリハーサルを終え、パーティ当日は満席となって本番を迎えられましたが、なんだか私まで落ち着かず、自身が上演する訳でもないのに本番前から緊張が高まりました。

ネイティブアメリカンの老婆に扮した森うたうさんが暗闇の中から登場し、観客はうたうさんの語りの世界に一気に引き込まれていきました。フルートとギターの音源が流れ、老婆の人生や死生観についての語りを、子供たちや孫たちに伝え話す姿に耳を傾け、観客は熱心に聞き入ります。ダンスのシーンはリズムよく高揚感に溢れ、蝶が舞い死にゆく姿は美しく、エンディングの語りは静かに、、、まるで、その人生を歩んで来られたかのような錯覚を覚えるその演技力に、心打たれてしまいました。スタジオの大きさの制限上、座席数も限られ、30名と少ない観客ではありましたが、上演後の拍手喝采はその人数よりも大きく響き渡り、さらに感動が掻き立てられました。

鑑賞後のパーティは、料理家・櫻井絵里子さんが振る舞うケータリングのお食事会。今回の一人語りの作品に合せた、ネイティブアメリカンをテーマにお料理をご用意いただきました。ワイルドライスのサラダやラム肉の煮込み等、20種類以上のお料理が並べられ、初めて会う人たちも多い中、作品について語り合いながら美味しくいただきました。最終的に6度もご試作くださったパイナップルアップサイドダウンケーキのデザートはもちろん大好評でした。ソムリエ・本城真矢さんがセレクトくださったワインはお料理をさらに引き立ててくれました。

衣装を着替え、戻られたうたうさんも食事会にご参加いただき、今回の公演の感想や質問を直接伺える機会を持つことができました。書籍へのサインにも応じてくださいました。
鑑賞された方が感動のお気持ちを女優さんへ直接伝えることができただけでなく、様々な質問をする場も設けられました。その中で、「どうして日本人なのにネイティブアメリカンの作品を選ばれて語るのですか。」という質問がありました。うたうさんご自身がアイヌについての作品も演じたことがあるそうですが、どの民族であっても自然を崇め生きてきた姿に変わりはなく、日本人だからアメリカ人だからという国籍や国境の縛りは必要ないのではないか、と数々の作品を通じて感じられたご感想が大変印象的でした。女優というキャリアを育まれてきただけでなく、うたうさんご自身の中で思慮をめぐらせながら演じることが、演技に深みを増していくのだなと感じました。この公演を通じて女優というスピリットにも触れ、たくさんのことを学ばせていただく機会となりました。

最後になりましたが、この観劇をご鑑賞くださった方々、上演いただいた女優・森うたうさん、(今回の現場では直接のご参加はありませんでしたが)音楽・青木渉さん、料理家・櫻井絵里子さん、ソムリエ・本城真矢さん、そしてこの機会にいつも支えてくれる家族へ感謝を伝えさせていただきます。多謝!

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